人物画・母の歌
Portraits & Essays



ベレーン 2002 46×38cm

 クリスマス前後の一ヶ月余りを、スペイン北部のバスク地方で過ごした。このあたりでは、クリスマスツリーとともに、ベレーン(ベツレヘム)という人形を飾る。それは、生まれたてのクリストを、ホセとマリアが暖かく見守り、牛とドンキーが息で温める、馬小屋のクリスト生誕の場面を再現したもの。日本でいえば、お雛様か、鯉のぼりの様に、人々の間の年中行事になっている。
 私の居候した家には、女主人のマリアさんが、四十年程クリスマス毎に出すというベレーンが飾られた。それは、二十センチメートルほどの陶器でできた人形だが、明らかに、力のある彫刻家が、型を創ったものと見て取れる。聖母マリアの気品、ホセの誠実、牛やドンキーの無垢のやさしさ、どれもが自然に、見る者の心に伝わってくる。
 暗い部屋の中で、そんな人形達を観ていると、背景に十字架を置く絵を、描いてみたい気がしてきた。宗教を持たない私に、そうさせる力が、この人形達にはあった。


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